勝率とリスクリワード 金で5万7,819回ランダムに入ってわかったこと

更新日 2026年11月1日 · 約4分で読めます

トレーダーどうしで最初に聞かれがちなのが「勝率は何%?」です。でも、勝率だけを聞いても実力はわかりません。金の10年分のデータで、その理由を確かめます。

検証の方法

ゲームのTP・SL判定とまったく同じルールを使いました。

  • 1時間足の終値でエントリーします。
  • 損切りを1 × ATR(14)、利確を1・1.5・2・3 × ATRの位置に置きます。
  • 先に触れたほうで結果が決まります。50本たっても決まらなければ、その時点の価格で決済します。
  • 1本のローソク足で両方に触れたときは、損切りとします。

これを2016年10月から2026年8月までのすべての1時間足で、買いと売りの両方について行いました。チャートはまったく読んでいないので、純粋な偶然の結果です。スプレッドや手数料は含めていません。

1時間足でのランダムなエントリー(ゲームのTP・SLルール)
損切り : 利確損益が均衡する勝率買い: 利確が先買い: 平均R売り: 利確が先売り: 平均R
1 : 150.0%49.9%−0.00148.1%−0.040
1 : 1.540.0%40.5%0.01238.4%−0.040
1 : 233.3%34.3%0.02931.9%−0.044
1 : 325.0%25.9%0.05323.5%−0.049
2016年10月〜2026年8月のすべての1時間足の終値でエントリー(買い・売りそれぞれ57,819回)。損切り = 1 × ATR(14)、利確 = 1・1.5・2・3 × ATR、最大50本。1本の中で損切りと利確の両方に触れたときは損切りとします。スプレッドや手数料は含みません。

表からわかること

利確を遠くするほど勝率は下がります。 ランダムな買いの勝率は、1:1で49.9%、1:1.5で40.5%、1:2で34.3%、1:3で25.9%でした。

どれも損益の分かれ目ちょうどです。 利確が損切りのk倍なら、損益がトントンになる勝率は 1 ÷(1 + k)で、50%・40%・33.3%・25%です。ランダムな結果は、いずれもこの線から2ポイント以内に収まっています。利確を大きくしても有利になるわけではなく、勝率と1回の利益を交換しているだけです。

買いのほうが売りより少し良い結果でした。 1回あたりの平均は、買いが0.00R〜+0.05R、売りが−0.04R〜−0.05Rです。これは腕の差ではありません。この期間に金が約1,300ドルから4,300ドル超まで上がったので、ランダムな買いがその流れに乗っただけです。

コストが結果を逆転させます。 スプレッドは毎回Rの何分の一かのコストになります。これを入れると、ランダムな売買は買いも売りもマイナスになります。

勝率だけでは判断できない理由

大事なのは期待値、つまり1回あたりの平均の結果(R)です。

期待値 = 勝率 × k −(1 − 勝率)× 1

  • 勝率70%でも、利確が0.3Rなら 0.70 × 0.3 − 0.30 = −0.09R。気分は良くても、続けるほど減ります。
  • 勝率40%でも、利確が2Rなら 0.40 × 2 − 0.60 = +0.20R。負けてばかりに感じても、続けるほど増えます。

勝率を見たら、1回あたりいくら取れているのかを確かめます。大きな利益を見たら、それがどれくらいの頻度なのかを確かめます。

ゲームでの生かし方

  • 「N本後の終値」の判定では、基準は50%です。 数百本で55%を保てれば、意味のある結果です。
  • TP・SLの判定では、50%ではなく表の「損益が均衡する勝率」と比べます。 1:2なら38%で十分に良く、45%なら非常に優秀です。見るべき数字は成績欄の合計Rです。
  • 本数を見ます。 100本程度では、偶然だけで勝率が±10ポイントほど動きます。自分の実力を判断するのは300本を超えてからにしましょう。
  • 優位性は小さいものと考えます。 本当の優位性は、たいてい損益の分かれ目から数ポイント上の差です。20ポイントもの差ではありません。その数ポイントを、多くの回数で安定して保つことが目標です。

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